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(2023年4月1日~)相続開始から10年以内に遺産分割をしないと寄与分及び特別受益を主張できなくなります

こんにちは。司法書士の小沢崇です。

目次

遺産分割協議に期限はあるのか

もともと、民法上では以下のとおり定められています。

共同相続人は次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

民法907条1項

つまり、相続開始(亡くなってから)から10年、20年と経っても法的には有効な遺産分割が可能です。

問題点

 

しかしながら、そのまま遺産分割がされないことにより、下記のような問題が現在多数起きています。

  • 相続された土地が所有者を不動産登記簿により判明することのできない、または判明しても連絡のつかない、いわゆる「所有者不明土地」として長年放置されてしまう
  • 相続した人も死亡してさらに相続が起こり、共同相続人がさらに増加して複雑化し遺産分割が困難となってしまう

そこで、2021年に改正された民法では原則として相続から10年経過した遺産分割について、寄与分※1及び特別受益※2の規定を適用しないことが定められました。

つまり、相続が生じてから10年遺産分割をせずに放置してしまうと、寄与分や特別受益を主張できなくなり、相続人によっては本来もらえるはずの遺産が少なくなってしまうのです。

※1寄与分とは、相続人の中に亡くなった方の財産維持に貢献した人がいる場合、その貢献に応じて相続財産を増額する規定のことです。例えば亡くなった方の家業に無給(あるいは無給に近い状態)で従事していた、療養介護に従事していたなどがあげられます。

※2特別受益とは、民法上で、一部の相続人が亡くなった方から生前贈与や遺贈、死因贈与などで得た利益のことを指します。相続人の間で公平を期すために、遺産分割の際には特別受益分の財産も計上した上で、相続財産を分配することが民法903条で定められています。

遺産分割は10か月以内に行いましょう

他にも、遺産分割にともなう期限は下記のとおり定められていますので、身近な方がお亡くなりになった時には10か月以内に遺産分割を行うべきでしょう。

相続税の対象となる場合、相続税の申告は相続から10か月以内・・・期限を過ぎた場合は、「無申告加算税」や「延滞税」が課される場合があります。
※相続税の対象となるか否かについては、税理士にご相談ください。
※当事務所では、税理士の先生をご紹介しています。

相続登記は相続から3年以内(2024年4月1日~)・・・期限を過ぎた場合は、10万円以下の過料が課せられる場合があります。

遺産分割を期限内に行うには専門家の力を借りましょう

とはいえ、多くの方にとって相続は一生のうちに何度もあることではないため、一般の方が単独で期限内に相続や遺産分割を行うことはかなり困難といえます。相続の前提となる戸籍の収集や財産調査といった面倒な調査は司法書士などの専門家に依頼した方がスムーズに進むことでしょう。(ましてや、本記事を読まれている方は日々の仕事や介護、育児などに追われている方がほとんどでしょうから、平日に何度も役所に行き来したりするのはほぼ不可能かと思います。)遺産分割や相続でお困りの際は是非、お近くの司法書士にご相談されることをお勧めします。

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